公開: 2023年9月9日
更新: 2023年9月12日
文明発祥後の世界では、エジプトやメソポタミアなどの古代文明社会において、今日、私たちが「神話」と呼んでいる物語が生まれました。そのような神話では、世界と神々の誕生、人間の誕生と死などに関する物語が語られ始めました。これらの物語には、異なる社会に生まれ。語り継がれたものであるにもかかわらず、似たような話が数多く伝えられています。
日本では、時代はずっと後になりますが、「古事記」のような神話が残っています。古事記の「世界の始まり」に関わる物語では、イザナギとイザナミの男女の神が、日本の縞々を生み出し、イザナミが死んで黄泉(よみ)の国に行き、その姿を追って、イザナギが黄泉の国のイザナミに行った話が残されています。これに似た物語は、古代ギリシャの神話にも残っています。
神話の研究者達は、古事記のイザナギとイザナミの物語は、古代ギリシャの神話が、中央アジアを通って、古代の日本社会に伝わったものであると考えています。イザナミを追って黄泉の国へ行ったイザナギでしたが、「決して私の姿を見てはならない」と言ったイザナミとの約束を破り、イザナミの恐ろしい姿を見たイザナギは、恐ろしさのあまり、黄泉の国から逃げ出したのですが、イザナミ達に追われました。
黄泉の国を脱出したイザナギは、逃げてきた道を大きな岩でふさぎ、イザナミに永遠の別れの言葉を述べます。するとイザナミは、「それならば、私は1日に千人の人を殺す。」と言い、イザナギは、「それならば、私は1日にその10倍の子供を産む。」と宣言しました。この話は、人間は生まれ、死ななければならないことを説明した話だと、考えられています。
この日本の神話では、他の地域の古代の神話と同じように、「神は不老不死」であり、死なないことが前提になっています。そして、「人は死ななければならない」ことの説明にもなっています。日本の神話では、神が『不死』であるにもかかわらず、「神の子孫である天皇が、なぜ人と同じように死ぬのか」を説明する必要がありました。古事記では、その理由を説明する話があります。他の地域の神話にも、「なぜ、人が死ぬのか」を説明する話があります。